~ 福田あつしの月刊アップデート ~
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、
有機フッ素化合物(PFAS)の代表的な物質であり、
その高い耐熱性・耐薬品性・撥水性から、産業や日用品で長年使用されてきました。
しかし、環境中で極めて分解されにくく、生物蓄積性・毒性があることが判明し、
国際的に使用規制が進められてきました。

環境省は2026年度からPFOS・PFOAを水道法上の
水質基準に追加し、定期検査を義務化する方針です。
検査頻度は3ヶ月ごとが予定され、基準値超過時には
原因調査や改善措置が義務付けられます。
現行の暫定目標値「0.00005 mg/L(=50 ng/L)」が法定基準となり、
水道事業者は濃度管理責任を負います。
PFHxSなどの他のPFASも要調査項目に追加され、
最終的にはPFAS全体を包括的に規制する方向で進行中です。
また、水質汚濁防止法の指定物質としてもPFOS・PFOAを明記し
排出事故時の通報や応急措置の義務化が検討されています。
水質基準逐次改正検討会や専門家会議において、
基準値の見直しや対象物質の拡大が継続的に議論されています。
2023年には、PFASに関する総合的な対応方針が示されました。
米国や欧州の一部ではすでに4 ng/Lといった厳しい目標値で規制されており
日本でも将来的に50 ng/Lより厳しい基準への見直しは十分考えられます。
■ 改正の概要(令和7年5月 環境省)
1. 水質基準の追加
・水道水の水質基準に PFOSおよびPFOA を追加。
・基準値は 合算で0.00005 mg/L(=50 ng/L)以下。
2. 水道法施行規則の改正ポイント
・給水栓以外の採水地点も可(浄水施設出口等)、
対象にPFOS/PFOAを追加。
・有機化合物として「3か月に1回以上」の検査が基本。
・簡易水道・専用水道・全量受水事業者には以下のような検査緩和措置
■ 水質検査の考え方(施行後:令和8年4月1日〜)
【簡易水道・専用水道】
・基本は「3か月に1回以上」
・以下の条件を満たすと検査回数を軽減可能
過去の検査結果で検出の可能性が低い → 6か月に1回以上
原水や周辺環境も踏まえてさらに可能性が低い → 年1回以上
※ただし、10 ng/L 超の場合は必ず「3か月に1回以上」
【全量受水水道事業者】
・基本は「3か月に1回以上」
・以下の条件を満たす場合は自己検査を省略可能
→受水元の検査結果が 10 ng/L以下
→自己の検査でも濃度上昇なしが確認された場合
※受水元が10 ng/L 超えた場合、自ら検査を行う
■ 施行スケジュール
・施行日:令和8年4月1日
【専用水道をご利用のお客様向け 】
・施行2026(R8)年4月1日までに
給水栓(浄水)のPFOS及びPFOAに関する水質検査実施し
基準値50 ng/Lの1/5以下であれば
6か月に1回以上の頻度に軽減可能
更に、
・施行2026(R8)年4月1日までに
原水のPFOS及びPFOAに関する水質検査実施し
基準値50 ng/Lの1/5以下であれば
浄水のみ、水質検査の頻度を1年に1回以上に軽減可能
つまり2026(R8)年4月1日まで浄水・原水の水質検査を行い、
結果によっては、施行後の浄水の分析頻度を軽減でき、
最大年間費用(浄水)を1/4に抑えられる可能性があります。
是非、今年度中に検査を行い、来年度予算の参考にしてください。
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